岩手医科大学|リハビリテーション医学講座・リハビリテーション部

教授挨拶

教授挨拶

ご挨拶

西村行秀教授

リハビリテーション医学講座教授
リハビリテーション部部長

西村行秀

岩手医科大学医学部リハビリテーション医学講座は2017年4月にリハビリテーション医学科として開設され、2021年4月に現在の名称に改変されました。わたくし、西村行秀は2017年4月の開設時に教授に就任しました。

多くの診療科の治療対象は臓器ですが、リハビリテーション科が治療の対象とするものは臓器ではなく人です。リハビリテーション科が治療の対象とするものは、人の機能と障害と活動です。人の機能を回復させ、障害を克服し、活動を育む診療科ということになります。

リハビリテーションの語源は、[re:再び]と「habilis:適した」です。したがって、リハビリテーションの正しい意味は「再び適した状態にする」ことです。決して、元どおりになるということではありません。

治療の本質は「命を救う」ことです。昨今の医療の進歩により多くの命は救えるようになってきました。しかし、命を救うだけでは不十分であることがわかってきました。具体例をあげると、例えば「命を救う」ため下肢の切断を余儀なくされた患者は「命を救う」ために下肢が切断されます。命は救われましたが歩くことはできなくなります。当然、下肢が再生され歩けるようになることが最善ですが、現在の医療では下肢の再生は不可能です。そこで、その患者に義足などを処方しリハビリテーション治療を併用することで歩行が可能となります。さらにその患者を日常生活や家庭生活、社会生活に復帰させることが重要です。このように、治療の本質である「命を救う」だけでは不十分であることがわかってきました。たとえ命が救われても、機能や障害、活動が救われないと本当の改善とはいえないのです。そのために、リハビリテーション治療が不可欠であるということです。

われわれのおこなっているリハビリテーション治療はリハビリテーション医学・医療にもとづいたものです。そのためには良い教育をおこなうことと、リハビリテーション医学・医療を発展させるための研究が必須です。リハビリテーション医学・医療は臓器にとらわれていないため、全身に関する知識や技術が必要となります。その教育を受けるための援助と支援は惜しみません。また、そのための基礎研究や臨床研究も積極的におこなっています。

リハビリテーション治療は、医師が理学療法士や作業療法士や言語聴覚士などのリハビリテーション専門職種とともにおこなう治療です。したがって、療法士の教育やスキルアップは必須です。当講座では医師だけではなく、専門職種の人たちにもさらなる専門教育を受けることができるような大学院(修士課程、博士課程)も設置しており、すでに複数の大学院生が在籍しております。

リハビリテーション医学・医療をもちいて臨床、教育、研究をおこなうために、多くの関連機関のご助力をいただきながら急性期から生活期におけるあらゆる障害者が必要とする医療サービスの提供に努めます。また、医師の本分である急性期における全身管理をする主治医としての医療知識技術から退院後の「かかりつけ医」としての能力をもつ、最新の医療から地域医療まで幅広く対応できる医師の育成に努めます。

われわれは共にリハビリテーション医療を実践してくれる仲間を求めています。臨床研修を終えた若い医師はもちろん、専門科が違ってもリハビリテーション医療に興味があり、今後リハビリテーション医を目指したい方も歓迎いたします。リハビリテーション医療は、障害者が対象であるため様々な分野の知識が必要であり、我々も常に様々な分野での知識・技術を吸収したいと考えております。少しでも興味をお持ちの方は、是非ご連絡下さい。

最後に、ほほすべての人が思っている、「生物としてのヒトとしては運動ができなくても生きていくことができるかもしれないが、人間としてのヒトとしては運動ができなければ生きていたくない」という考え方に従い、これを全うできる医療をリハビリテーション医学・医療をもちいて実践してまいります。

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